平成22年度奥出雲町たたら体験学習本操業を取材に行きましたのでご報告いたします。

今年の体験学習は、11月22日(月)~26日(金)の4日間、「つなぐ・伝える」をテーマに日刀保たたらと、たたら体験工房で、国の選定保存技術保持者「日刀保たたら」木原明村下の指導のもと開催されました。
奥出雲町は、島根県東部の山間地域に位置し、一級河川斐伊川の源流部にあたる水の豊富なところです。全国的に知られた仁多米や、雲州算盤、日本で唯一日本刀の材料の玉鋼を製造する日刀保たたら、またホッケーの町としても有名です。
学校は、高等学校1校、中学校2校、小学校11校、幼稚園9園、専門学校2校があり、今回のたたら体験学習は、奥出雲町のすべての小学校を対象に行われました。
訪問した11月26日は、朝8時から本操業の体験学習でした。場所は、鳥上小学校の校地内にある「古代たたら体験学習工房」と学校横のかんな流し体験施設で各校児童が入れ替わりで作業が行われました。
学校横のかんな流し体験施設では、砂鉄を川に流すことにより軽い土砂を流し去り、重い砂鉄を残す選別体験を行っていました。工房の中では期間中に造られた「たたら炉」に、炭150キロ、砂鉄100キロを入れて、たたら吹きで空気を送り込んで燃やす作業を行っていました。
工房中央に造られた「たたら炉」のまわりでは木原村下と日刀保たたらの皆さんの指導により1砂鉄の調合・計測・投入、2炉の温度計測・記録、3炭の計測・投入、4吹子で空気をおくるグループに分かれ、作業を体験していました。
日も落ちまわりが暗くなった午後5時、炉底にできた鉄塊を,炉を壊して取り出すケラ出し作業が始まりました。各校の代表が入れ替わりながら、上から順に炉をこわしていきます。真っ赤に燃焼した木炭がまだ炉内にあり、放射熱で熱い中、少しずつ炉が壊れていきます。そして、ついにオレンジ色に焼けたケラ(30Kg)が見えてきました。最後にできたケラを二人がかりで持ち上げて炉から移動させ、水の入ったドラム缶へ投入。ものすごい音とともに水蒸気が周囲に広がり一瞬周りが見えなくなるほどでした。

この取材を通して古来奥出雲に伝わる伝統技法の一部に触れることができ、ますます古代のたたら文化に興味をいだきました。
また、この世界に誇れる文化を体験できる奥出雲の子どもたちの今後の活躍に期待し報告とさせていただきます。

最後に、取材に協力いただきました教育委員会、学校、先生方、そして日刀保たたらの皆様に感謝申し上げます。

文責: 学校生協事務局長 栗原隆寿